noa no atamannaka

フェミニストの読書記録、映画記録、考えていること

そして母になる(出産間近編)

(2019年11月8日にnoteにて公開した記事)

初任給でプレゼントを買って親戚中に送りまくったこと以外、ほとんど親孝行らしい親孝行を出来てなかった気がする私なので、子どもを産むのは今住んでいる東京ではなく地元にしよう…とは決めていました。

出産予定日の2ヶ月前には遅くても地元の産婦人科に行かなきゃいけないとのことだったので、夫を東京に残し、泣く泣く地元へ。夫にも仲の良い友人にも、これから先4か月も会えないのかと思うととても寂しい気持ちになりました。

地元で毎日していたことといえば、食べて寝て起きて散歩して…毎週決まった日にお腹の膨らみ具合をチェキで撮って…とほとんど同じことの繰り返しでした。

母の監視が厳しかったので「これから母親になろうとしている真面目さ」を常にアピールしなければなりませんでした。ケータイで漫画でも読もうものなら小言の雨が降り注ぎます。(でも読んでたけどね、『コウノドリ』とか『アヤメくんののんびり肉食日記』とか…。)母親がいるときに読むのはもっぱら、『たまごクラブ』などの雑誌でした。

日中は、陣痛促進のために毎日、母と1時間以上散歩しました。毎日散歩するので、もう見飽きた景色ばかり…少しでも散歩を楽しくしたいと、diana mlniという小さなフィルムカメラを買って写真を撮っていました。

 

 

出産経験のある友人に連絡して、出産どうだった?めちゃくちゃ怖い…とこぼしていたら、友人が「痛くない出産法」なるものを教えてくれました。ほんとに痛くないから!と。

その動画の中で言われていたのは、

・リラックスする音楽を聴く

・赤ちゃんは陣痛の時、ものすごい痛みに耐えているから、お母さんも頑張らないと!

・こっちの世界は楽しいよー安心してでておいで〜と声をかける

ざっくりとですがこんな内容でした。

ですが……私は、「こっちの世界は楽しいよ 安心して出ておいで」というふうには、どうしても思えませんでした。

毎日辛いことの方が多いし楽しいことが何だったかあまり思い出せない……それにこの世界にはひどい出来事や事件が死ぬほどあって、それにこの子が巻き込まれないとも限らないと考え出すと、どうあっても「安心して」などとは思えないのでした。

当時の自分のインスタを見返すと、

毎日辛いことや悲しいことの方が多い、でもだからこそ、生きてて良かったとおもえる瞬間を増やしたい、

とこぼしていました。

インスタで注目している、面白い文と写真を生み出される人がいます。その方の娘さんがある日同級生に意地悪をされた、仲間外れにされたという話を読んで、どうしようもなく心がギュッと辛くなりました。

自分の子どもが仲間外れにされたらやだな、でも…誰かを仲間外れにして平気でいられるような子になってしまったらもっと嫌だな。そんなことを毎日考えていました。

ふんわりした優しい曲を聴きなさいとのことでしたが、当時私が繰り返し聴いていたのは、クリープハイプの『バイトバイトバイト』…この世の暗いところも明るいところも美化せず歌いあげられているように感じて何度も聞きました。

陣痛が来やすくなるツボを押す、腹帯をあえて外してみる、いつもよりたくさん散歩する、など、できることは全てしたつもりでした。

しかし、出産予定日が近づいても、ついには出産予定日を数日過ぎても一向に陣痛は来ず、膨れ上がったお腹にも、卵かけご飯やお寿司やチーズが食べられないことにも、お腹を赤ちゃんが毎日激しく蹴るので気持ち悪くなってしまうことにも、仰向けに寝られないことにもいい加減ウンザリしていました。

早く出てきて欲しい一心で、母の勧めもあり陣痛促進剤を打つことも考えました。ところが母の時代とは違い、今は点滴だけではなくバルーンを使うとお医者さんから説明され、一気に促進剤やめようの気持ちになったのでした続く。